小田原箱根商工会議所メールマガジンより転載「日本の第6次エネルギー基本計画、洋上風力発電への期待」2021年12月12日 09:05

小田原コンサルティンググループの一員として 小田原箱根商工会議所メールマガジンVol.425に寄稿した記事です。

-----------以下、寄稿内容

 折しも11月12日まで英国グラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が行われていました。石炭火力による発電比率が31%余り(2019年度)の日本は、石炭火力発電全廃に対して否定的な立場を取りました。記憶に新しい所だと思います。では日本は、今後のエネルギー計画をどの様に考えているのか、本年10月にまとめられた「第6次エネルギー基本計画」1)を、ご紹介したいと思います。

 この第6次エネルギー基本計画で、特筆すべきは、もちろん再生可能エネルギー関連です。2019年に全発電量に占める割合が18%だったものを、2030年度野心的な見通しでは、36~38%に引き上げると書かれています。H27年の計画から見直しの程度が大きいものを上げると、もちろん太陽光発電、そして風力発電です。太陽光発電は、6.7%(2019年)を2030年に14~16%へ、H27年の目標の2倍以上に、風力発電は0.7%(2019年)を2030年に5%へ、同じく3倍に引き上げられました。

風力発電の内、フロンティアとも云うべき洋上風力発電については、R2年12月に洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会から「洋上風力産業ビジョン(第1次)(案)」2)というものが示されています。このビジョンの中で、洋上風力発電に期待する事として、経済波及効果も挙げられています。これが本稿でご紹介する所以です。この案によると、「洋上風力発電設備は、構成機器・部品点数が多く(数万点)、事業規模は数千億円。日本に潜在的サプライヤーは存在するも、現状、関連産業は国外に立地」と分析されています。

 洋上風力発電施設の建設そのものは、もちろん大手ゼネコンとエンジニアリング会社が元請になります。建設には、ケーブルや変圧器などの電気系統部品、タワー設置に用いられるボルトやフランジなどの機構部品など、さまざま必要になります。二次・三次下請け、部品サプライヤーなどへ様々な仕事が回ってくるものと思われます。そのような事業を営まれている方々は、本会議所管内にも多いと思います。今後の事業領域の候補として、ウォッチされるのも良いかと思っています。

参考
1) 資源エネルギー庁HP https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
2) 経産省HP https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/002.html